『先生っ………!』


なんとか絞り出すように
声を出すと


先生はパソコンから
視線を外して私を見た。


『ん?どした―?』



先生は身体ごとこっちに向けて
私の大好きな笑顔をくれる。


かあぁぁ…!!


恥ずかしいくらい
顔が赤くなるのがわかった。


心臓は暴れて
いまにも飛び出そうだ…


『あの…これっ…』


私は先生に紙袋を差し出した。



千晴と選んだ
かわいいもも色の紙袋。


中には…
昨日、一生懸命作った
ハートの形のガトー・ショコラ



先生への
想いがつまってるんだよ…



『え?くれるの?』


先生の少し驚いた声。




『先生が好きだから…』

と言えたら
どんなに良いだろう



伝えたい…


好きなんです…


こんなに好きなんです




だけど…

言えないよ。



先生が好きだからこそ

困らせたくもないんだ…





『いつもお世話になっているので…』



私は先生を見ることも出来ず…

ただ小さく俯いた。