しぶしぶ
グランドを走り出す。


倒れてやろうか。

そしたら保健室行ける。


2周目にして
そんなことばかり考える。


隣を走る千晴が
そんな私の表情を読みとり
釘をさす。


『あかんで?』


『………』


あかんのは私の足やで。


もうしんどく
なってきた。


体力には自信ないんだ。



白い息をはきながら

ふと
校舎を見上げると


!!

授業中の先生が見えた。


先生だぁ…!


うわ―…


こんな場所からも
見つけちゃう私


すご―い


嬉しい…!


先生を見れた。


それだけで

たったそれだけで…

マラソンに対して
勇気が湧いてきた。



ゆっくり走りながら

もう一度、先生を見た。



にやにやしちゃう。