先生とひよ子


それだけ言いきると
先生は少し笑って頭をかいた。


『だけどな、こっから先はプライベートだから内緒。』


『え…』


『先生の立場を察するように。』


『あ…』


『…ごめんな?』


先生は悲しい笑顔で私の頭をもう一度ぽんと叩いた。


『それと…出来れば聞かなかった事にして。』


悲しい目をした先生。


『…あの…っ』


先生は私の言葉を待つ前に
車内の時計を見た。


『ことみ氏、もう帰りなさい。親御さんが心配するから。』


急に先生の顔に戻る先生。


『………』


『また新学期な?』


もう笑顔に戻った先生に
私もコクンと頷くしかなかった…。






走り去る先生の車を見ながら

涙が流れた。



先生…

切ないよ――…