家のすぐ前まできた。



先生はうちの家の塀に沿わせて車を停車させる。

『到着したよ。気分はどう?』


『大丈夫です…』


私の返事に
先生は優しく微笑んだ。


『遅くなって腹すいただろ?
先生も腹減った~』


先生のおちゃめな笑顔にきゅんとなる。


どうせなら…

ご飯も一緒に食べたかったな


だけどさすがに
それは無理だよね。


だって先生は先生だ。


誰が見てるかも分からない。



私は名残惜しい気持ちで
わざとゆっくりシートベルトを外す。


『これ忘れんなよ?』


先生は体をねじって
後部座席に置いてあるホワイトデーの紙袋に手を伸ばした。