カントリーマァムのチョコの方って下手すると黒砂糖の味に似てる…。

あまり黒砂糖が好きじゃない夕作はカントリーマァムのチョコの方を囓りながらそんなことを思った。損した気分だ。
「きれいだなぁ」

いつからいたのか平塚が夕作の後の席に寄り掛かっている。いきなり喋るからかなり驚いた。
夕日が教室を赤く初めて、黒板が字のとおり黒く見える。異常だ。
夕作という名前のわりに自分は夕焼けが好きじゃない。
両親から夕方に作ったから夕作なんだよお前はとか言われたからじゃなく。

「かえろか」

なんかキモいんだよ夕焼け、とか考えていると平塚が夕作の肩を叩いた。

うなづいて立ち上がった夕作はもの欲しそうな目で自分を見てくる友人の口にカントリーマァムチョコ味をほおる。

モゴモゴしながらそうじゃなくてさ、とかなんとか言っている平塚をおいてとっとと帰路につく。
夕焼けを懐かしいだとか優しいだとか言ったのは誰だろう。

それは曖昧なくせに乱暴で、気づかなくていいことを気づかせて、後悔させる、最悪だ。

夕日で真っ赤になった平塚に窓枠の黒い影が落ちるさまが、




間違っている。

離れがたいなんてことは。








エンド。