「ふぅーん、まぁこのことは別にどうでもいいんだけどね。」




里彩の返事はあまりにもそっけないものだった。









昨日、あんなにこの話を「広めて」と、言っていた里彩が微妙な態度をとっていることを不思議に思った小川は理由を聞いた。






「何、別にいいって??お前この話を広めてって騒いでたじゃん。」






すると里彩は、




「いやっ、騒いではないけど……」






そしてこう続けた、






「だってねさっき思ったんだけど、南ちゃんってちょっとあれじゃん。」





小川は里彩の、この核心を「あれ」に訳した話に何も疑問を持たずに、





「う〜ん、あれだね……」




「あれ」とは簡単に説明すると、この２人の会話の中でだけ成立する、南の性格、世界観、周りからの目を表したような代名詞である。