「つまり、君は悪魔が常に見えているってことなのか…」

「そうなりますね。」

ミランダは軽く答える。

「悪魔って呪いとか生贄とか必要なんじゃないのか?」

「特には、私は悪魔と契約していないのでそういったことはしません。私が見えている悪魔たちも下級悪魔ばかりなので、人にイタズラするぐらいでたいしたことはしません。だから、安心してください。」

「そ、そうなのか?でも、なんで君だけ見えるんだ?」

「どうしてでしょう?私もみんな見えているものだと思っていたので、考えたことありませんでした。もしかしら、この瞳のせいかもしれません。」

ミランダはボサボサの長い前髪をあげ、ニクスに顔をさらす。

すると、今まで口元しか見えていなかったが顔全体を見せた。

肌は変わらず、透けるように全てが白く伏せたまつ毛も少し下がった眉毛も辛うじて色があるのは頬にうっすらと赤くなっているぐらい。

「あの、怖がらないでください。私、この瞳を見せるとみんな逃げて行くんです。」

ミランダは目を伏せたまま。

「ああ、わかった。ここまで話を聞いたら最後まで聞くし、これから共に旅をするんだから君のことを知りたい。」

その言葉を聞いて、自分のことを知りたいなんて言ってくれた人はいなかった。すごく嬉しいけど、この瞳を見て怯えた表情をされたら私は立ち直れるだろうか…

ミランダは緊張しながら、ゆっくりと瞳を開いた。








「…あの。」

二クスさんの反応がまったくなくて、心配になる。

「…すごく神秘的な瞳だ。」

「き、気持ち悪くないですか?こんな真っ赤な瞳。」

「全然。でも、消えてなくなってしまいそうな儚い印象はあるかな。」

ちょっとおどけて、二クスは言う。