堪えきれなくミランダは勢い良く椅子から立ち上がり、すばやく外につながるドアへ一直線・・・だったはずが、またしても二クスに阻止される。

「だから、何で逃げるの?やましい事があるから逃げるんだよね?」

笑顔ながら威圧感たっぷりでニクスは問う。

掴んでいるミランダの腕が震えている。

「・・・」

「無言は肯定ととるよ。」

ミランダはもうおろおろして挙動不審でどう答えればこの状況から脱出できるのか考えていたけど、どうにもいい方法が見つからない。しかも、この人怖い。

二人の間に長い沈黙が続いた。

この長い沈黙を破ったのは、ニクス。

「はぁ、そんなに怖がらないでよ、俺の聞き方が悪かった。さっきも言ったけど本当に俺は魔女を捕まえに来たわけじゃない、魔女に頼みたいことがあるから来たんだ。正直に答えてくれ、俺は一刻も早く魔女を見つけなきゃいけないんだ。」

「・・・・・・・」

どうしよう・・・正直に答えたほうがいいのかな・・・でも、お祖母さまとの約束が・・・ミランダがうじうじ悩んでいると

「お譲ちゃんがうじうじ悩んでる間にも病で苦しんで死んでいるものたちがいるんだ!頼む、知っていることを話してくれ。」

この人真剣だ・・・でも、何のことを言っているの?

「・・・どういうことですか?」

「今、首都では疫病が蔓延しているんだ、その治療法を知っているのが魔女だけらしい。100年前にもこの病が蔓延したときに、魔女だけがこの治療法を知り治療をしてくれたらしい。」

「お医者様ではダメなのですか?」

「首都だから、それなりに優秀な医者はたくさん居るがこの疫病の治療法がわかる医者は居なかった・・・最後の頼みの綱なんだ。」

私で役に立つのか・・・それにお祖母さまとの約束を破ることになる・・・でも、このことを知っているのに知らないまま見殺しにするの・・・そんなことできない、私に出来ることで助かる人がいるなら。