ジリジリジリジリッ!!!! バンッ!!

  

 ドンドンッ!


「……きな…いっ!」


〝うるさいな……〟


 ドンドンドンドンッ!!!!


「…さい…聖っ!」



〝うるさいって言ってるだろ〟


 バンッ!! 
 ダッダッダッダッ! 
 バサッ!


「聖っ!! いい加減起きなさいって言ってるでしょ!!」


 ゴンッ!


「痛ってーーーー!!!」

「うるさい、いつまで寝ている気!? もう昼だよ!!」

「だからなんだよ! ていうか、勝手に人の部屋に入ってくるなっていつも言ってるだろ!」


 顔を真っ赤にして鼻息も荒く、黒っぽい茶色の瞳でキッと俺を睨んで来た母さんにそう怒鳴った。


 ついさっきもそうだったけど、ほんとにうるさい。

 あの音からして部屋の扉を乱暴に開けるし!

 走ってくるなり寝てる俺の布団をまた乱暴に引っぺがすし!

 更には、怒鳴ってくるし!!


 どこまで乱暴なんだと思って、俺は殴られた頭を撫でながら睨み返した。

 母さんはそんな俺の後頭部をバシンッともう一度殴ってきた。


“いっつぅ~~~……っ!!”


 殴られたところに手をあてて、唸ってると、母さんの唇が再び開いた。


「あなたがいつまで経っても起きないからでしょ!

 何回言わせれば気がすむの! 今はもうお昼なの!!

 いい加減起きて店の手伝いくらいしなさい!」


 母さんの顔がグイッと俺の顔間近まで近づいて、怒鳴り声同時に肩を過ぎたとこまで伸びてる金髪も大きく揺れた。

 俺は……人の気も何も考えてない母さんを睨みつづけた。


 ドンッ!


「それはこっちの台詞だ!

そんなことでいつもいつも起こしに来るなって前から言ってるだろ!!」


 目の前にあった母さんの肩を強く突き飛ばして、俺は怒鳴り返した。


 ホント、毎日毎日こんな日の繰り返しだ……。

 もう目障(めざわ)りだ!

 うんざりだ!


「俺は、もう二度と店に関わる気なんかないんだ!」


 いつもいつも同じこと言わせて……。

 イライラする!


 俺に突き飛ばされた母さんは、床に倒れたまま顔と頭だけ上げてそれを見上げて……。


「聖……」


 小さい声でこんな風に俺の名前を呼んできて……。
 
 ……それが、イライラするんだってなんで分からないんだ。

 そんな目で見られると、よけいにな!!


「何度も言わせるな!!」

「聖…」

「もうとっとと出て行けよ! 俺は着替えるんだ!」

「聖、ちょっと……」

「出て行け!!」


 まだ何か言いいたそうな母さんの腕を掴み床から立たせて、部屋から追い出そうと強く押す。

 母さんは口を開いてくるが、こっちには聞く気なんか全くない!