コンコンッ! 

 コンコンッ!!



 いつも母さんがしつこくうるさくやってくるような、ノックの音がしてきた。


 いつもいつもうるさいって言ってるのに……。



 何回も聞こえてくる
ノックの音が

 目覚ましよりもうるさくて布団に潜って再び眠りにつこうとした。


 幸い、あのノックの後うるさい音が不思議と聞こえてこなかったから

 そのまままた夢の中に入れると思っていた。



 ……なのに。



 布団の中で腕を動かしたら、何か柔らかいものにあたった…。



 ん?



 と思えば


 今度は顔の間近に生暖かい風がかかってきて

 さすがにビックリして目を開けた。



 !!??

 おいおい

 なんの冗談だ!?



 顔が……

 昨日の自分は月天使なんだと名乗ってきたガキの寝顔が

 俺の顔と数センチも離れてないところにあるぞ!!


 
 しかも!  

 しかもだ!!

 さっきまで誰もいなかったはずの位置に!

 スヤスヤと気持ちよさそうに寝息まで立てて………!!



 顔にかかってきたあの生暖かい風は

 こいつの寝息だったんだとこれを見て分かった
さ…。



 なぜここでこんなことが起きているのか混乱している頭に、少しだけ冷静な判断が戻ってくると同時に…。



 ブンッ

 ゴンッ!



「………っ!?    いったぁ~~~~~ぃい!!?」

「人の布団で何やってんだ、このバカ!」



 拳で眠っていたガキの頭を殴ってやると、ガキはすぐに目を開けて俺に殴られた頭をおさえながら起き上がった。


 これでも手加減はして殴ってあるから、そんなに痛くないはずなのに、

 このガキときたら大袈裟にも涙目になって俺のことを睨んできやがった。



「何するの、ひどいよ聖ちゃん!!」

「『ひどいよ』じゃない!ひどいのは今のこの現状だ!」

「……へ?」

「だから、『へ?』じゃない!

あんたなんでここにいるんだ!?

俺の部屋で、しかも俺のベッドの中だろうが!
 
分かってんのか!!?」



 まるで何もしてないのに殴られた、みたいに文句をつけてきて!

 ふざけるな!


 おまけに今自分達の下にあるベッドをバシバシ叩きながら、呑気に首を傾げてるガキにここにいる理由を聞いても

 ガキはただ『なんだそんなことか~』と言い、


「その理由なら簡単、簡単♪ 
 ただ月菜は、聖ちゃんを起こしに来ただ~けv」


 なんて、語尾にヘンなマークまで付けながら

 ニコニコ笑って指で俺の額をつついてきやがった……!