この窓、そういえば……。


「あんた、どうやってこの部屋に入ってきたんだ?」


 さっきこいつに会って最初にも聞いた…。

 俺は部屋に入ってから扉を閉めたんだ。

 それなのに入ってくる音も閉める音もしなかったのはおかしいじゃないか!

 いや…100歩譲って俺が気づかなかっただけだとしてもだ。

 そもそもどうやって家に入ってくるんだ??
 カギの確認をして来たはずだから、閉め忘れはないのは確かだが…。

 開ける前からいたとしたら、母さんだよな。


 あらゆる疑問の可能性が次々頭の中に渦巻いて出てくるついに頭を抱えていると

 目の前のガキがスッと右手を上げてまた指差した。


 でも今度は俺じゃなくて……。



「窓からだよ」



 ニコニコしたまま問題になっている窓を指差してそう言ってきた。



 ……窓の外からだと…?



「は? バカかあんた?」

「ば、バカってなによ!! 月菜はホントに……っ!」

「ここが何階かわかってないのか?」


 思わず言った俺の言葉に怒ってこいつは何か言おうとしたが

 俺はその言葉を遮って部屋の床を指差し、半分馬鹿にしがちに聞いた。


「3階だぞ? 窓の外に梯子や木があるわけでもない。

 何かに掴んで上ってこれるような高さでも場所でもない」

「……」

「この高さの部屋に何もなしでどうやって窓から入って来れるって言うんだ?  
 猫や鳥でもない限り無理なこと言うな」

 
 それが当たり前のことだろ!と俺は思って言ってやった事なのに。

 話してる最中にこのガキは不満そうというか何か言いたそうに“う~ん……”と唸りだして。

 こっちまで不満にさせる声を聞かせるんだからなんと言えばいいものなのか(苦笑
 
 とりあえず、ここまで顔にもの言いたげな表情されてるのに無視もできないから、言わせるしかないんだろうな。