辺りを見えなくしている真っ暗闇の真上から夜空。


 そこにはキラキラと眩しいくらい輝く銀色の光をまとわせた真ん丸の満月が、姿を現している。


 その辺りの暗闇にしている、一面に明るく照らし始める月光がとても静かでとても不思議な感じがする森がある。


 その中に進んでいくと、その森の中心らへんには夜空に浮かぶ大きな満月と同じぐらい大きな湖がある。


 湖の前には数人の人影が長いローブを着て立ち水面に写る満月を見つめていた。


 ローブを着た数人の足元には、湖も囲むように約高さ60cmくらいの紫色の花が咲き広がっている。


 常銀性の小低木で細い葉の間から花茎を伸ばし、とても小さく可憐なベル型の紫色の花を下向きに咲かせてて。


 月光に照らされ風に吹かれると、まるで鈴が鳴るような綺麗な音を立てて花々が揺れる。


『……それでは、準備はいいな?』

『はい!』
 

 ローブを着た数人のうち、手前に立っている細身の相手に背後の男性の声が尋ねると 

 問いかけられたは元気に答えて頷き水面の上に足を歩ませた。
 

 沈むことなく浮かぶ足は湖の真ん中に写っている満月の中心まで進んで行き、その1歩1歩から水面に水玉を生み出していった。

 ポンポンッ と、
 スキップするテンポですぐに中心にたどり着く。

 そして、声からして少女に感じるローブを着た子は、クルッと自分を見守ってくれている湖の周りの人々の方を振り返り、


『それじゃあ、月菜(ツキナ)!行ってきます!!』


 と、元気な一言を大声で言う。


 同時に、湖に写っている大きな満月がカッと銀に強く光り、少女を包んだ。

 その光りはほんの一瞬ですぐに収まったが、水面の上に少女はいなかった。


『……行ったか』

『はい、行きましたね』


 少女が消えた湖の水面を見つめて、ローブを来た人々は次第にヒソヒソと話し始める。


 少女の隣に立っていた男性は美しく輝く満月を見上げて少女の無事を祈った。