様子が明らかに変わった藍楽を皇楽が怪訝な表情で見下ろす。


藍楽の頭の中を羞恥で埋めつくす原因はただ一つ。


今し方まで居た生徒会でのとある出来事のせいだった。


昨日の付き合ってます宣言が完全に頭に来た藍楽は、取り消しを要求すべく鼻息荒く生徒会室に向かったのだが……。


「…………」


生徒会室の扉を開いた途端に飛び込んで来た光景に愕然とした。


豹がまた女子を連れ込んで……いるワケではない。


そこには紛れも無く見慣れたメンツが居るのだが……。


「あっ! 高原さん待ってたよ~」


ヒラヒラと暢気な笑顔で手招きする龍の手にはフォークが握られている。


「昨日修護ママとシフォンケーキ作ったの。だから差し入れ」


「ふわっふわで美味しいよ~」


「ちょうど紅茶を淹れたところだ」


ニコニコと上機嫌な椎菜と龍と空いたソファーの前に紅茶を差し出す修護。