「あっ! 花井先輩!」
「あら、お揃いでどうしちゃったの?」
三年の校舎に向かう途中。
通学用のカバンを持った絵那を見つけ、龍は思わずそちらへと駆け寄っていった。
「絵那さんに確認したいことがあって……」
「生徒会のこと?」
「このファイルの引き継ぎした時のことなんです」
龍に続いて藍楽も絵那に駆け寄っていく。
龍が持っていたファイルを絵那に差し出すと、
「あぁ~。運営のマニュアルにするからって、龍くんが必死にメモってたヤツだね」
受け取った絵那は思い出すようにファイルをめくりながら龍に微笑みかけた。
その絵那の反応に龍は安堵の表情を浮かべ、絵那に笑い返す。
その斜め後ろで、
「確か……言うこと全部龍くんがメモりまくるから、豹くんが要点をかい摘まんで付箋に書き直すように言ったんだよね?」
「えっ……」
笑顔の絵那に話を振られた豹を思わず藍楽が振り返る。
絵那の問い掛けに一瞬わずかに表情を強張らせた豹と視線が重なった。

