ヌケヌケで頼りない龍ならまだしも、厭味なくらいしっかり者な豹がそんな大事なことを忘れるだろうか……。
そんな藍楽の猜疑心など知る由もなく、
「会長っ。手分けして別のファイルを探しましょう」
「もしかしたら紛れてるかも知れませんよ!」
生徒会室から引き返してきた椎菜と修護がこう言って龍を励ます。
「ありがとう二人とも。よし! 僕も探すよ」
二人の励ましに応えるように笑い返した龍が、張り切ったように腕まくりをしてみせる。
そんな龍の腕を掴み、
「絵那さんに確認してみましょう!」
「えっ? 花井先輩?」
「探すのは椎菜と城戸くんにお願いして、並行して絵那さんに引き継ぎの時のことを確認するんです」
あとはよろしくと椎菜たちに告げ、龍の腕を掴んだまま三年の校舎の方へと足を向ける。
そして、
「豹先輩も一緒に行きますよ」
「……なんで」
「引き継ぎの時に一緒に居たんでしょ? だったら何か思い出すかもしれないし」
傍らで立ち尽くしていた豹の腕も掴み、一緒について来るように促した。

