今にも泣き出しそうな顔で豹の腕を掴む龍を、
「どうした? 落ち着け」
豹は冷静な口調でポンポンと背中を撫でて宥める。
龍は脇に抱えていたファイルを豹の目の前に差し出した。
「引き継ぎの時にメモした付箋が無いんだ……」
龍が差し出したのはかつての生徒会活動の日誌をコピーしたファイル。
それを基に運営を進めるべく、龍は年度替わりの引き継ぎで注意事項を細かくメモして付箋で貼り付けていた。
しかし、ファイルにはその付箋らしきものが見当たらない。
「僕、ちゃんと貼ってたよね?」
「悪い……覚えてない」
「えー! じゃあもしかして……僕の勘違いなのかな……」
頼りの豹にこう言われ、龍はますます不安そうに眉を下げた。
動揺する龍を見つめる豹の顔は固く、藍楽は小さな違和感を覚える。

