教室を後にした三人が廊下に出た瞬間、顧問の声で龍を呼び出す校内放送がかかった。
「わっ! ちょっと急いで行ってくるよ!」
「あ……」
それを聞くなり大慌てで龍が走り去ってしまったから、気まずいったらない。
思わず勢いで龍にくっついてきたものの、豹と二人っきりで置いてかれるなんて想定外だ。
仕方なく龍が向かった方へと歩き出す。
「龍にくっついて俺を見張ってるつもりか?」
「先輩の思惑通りにはさせないって言ったでしょ。龍先輩はわたしが守りますから」
「そんなもん、家に帰っておまえのあることないこと龍に吹き込んだらおしまいだ」
「龍先輩は豹先輩みたいにひねくれ者じゃないから大丈夫です」
お互いに正面を向いたまま、一定の距離感で廊下を進んでいく。
お荷物の癖にって鼻で笑う豹の顔は、眼鏡が厭味なくらいに光っていて腹が立った。

