お弁当箱を押し付けられた雄楽の舌打ちを背中に聞きながら、藍楽は高梨兄弟と共に教室から出ていってしまった。
「ったく……めんどくせぇな」
藍楽に押し付けられたお弁当箱を雄楽が渋々部活用のスポーツバッグの中に放り込む。
「結局持って帰ってあげるんだ」
「弁当箱忘れて帰ったら兄貴が怒るからな」
「高原先輩ってホント主婦だよな~」
「弟妹思いって言いなよ」
「それ言ったら怒るって。高原先輩ツンデレだから」
「それも聞いたら怒るだろな」
藍楽が居なくなり、三人がようやく落ち着いた空気の中で食べかけのお弁当に手をつけていく。
しばらく無言で箸を進めていく中で、
「なんかさ、弟クンって高原先輩に似た感じだよな」
「どこがだよ」
仏頂面に眉間のシワがトレードマークのような兄と、胡散臭い程の爽やかな笑顔がトレードマークな豹に共通点なんか全く感じられない。
涼希が切り出した話題に雄楽は怪訝な顔でそちらを一瞥した。

