「せっかくのご本人登場だし、単刀直入に聞いちゃえば?」
こう言いながらぽけーと立っている龍を涼希が手近な椅子に座らせた。
されるがままに座った龍は何がなんだかわからないといった顔で首を傾げている。
「……なんて聞くんだよ」
「キミの弟くんってホントは女の子食いまくってるの?って」
「涼希失礼過ぎだよ……」
三人がコソコソと何かを話し合ってる傍らで、
「昨日みたいな豹、初めて見たんだ。僕」
「えっ?」
「豹は上手に外面を作ってるでしょ。だから、あんな素の顔を僕以外に見せてるのが新鮮だったんだ」
ポツポツと語り出した龍に、この人も外面って言葉を使うんだな~なんて藍楽はボンヤリと思っていた。
「豹はなかなか自分の本心を見せたがらないから」
「…………」
豹が龍を会長の座から引きずり落とそうとしてた。
なんて本心を龍本人に言えるワケがない。
心配そうに溜め息を零す龍に、昨日の豹の言葉を思い出した藍楽は龍が不憫に思えて仕方なかった。

