何も聞かされずいきなり通された生徒会室では、


「はじめまして。生徒会長の高梨 龍(りゅう)です」


人のよさ気な人懐っこ笑いを浮かべながら自己紹介する生徒会長と、


「副会長の高梨 豹(ひょう)です。よろしく」


眼鏡を指先で直しながら爽やかに笑う副会長に歓迎ムード全開で迎え入れた。


もしかして……風紀委員のことでの呼び出しだろうか。


自分が所属している風紀委員会からは何も聞いていないが……。


それを不自然に思いながらも、藍楽にはそれ以外の理由が浮かばなかった。


「一年の高原 藍楽です……が」


なんの呼び出しでしょうか。


自己紹介ついでに小首を傾げた藍楽が龍と豹を見比べながら尋ねる。


そんな藍楽の反応に龍と豹が同時に顔を見合わせた。


てっきり修護が説明を済ませているものだとばかり思ってたのに。


龍と豹に藍楽の視線が一斉に入口で立ち尽くしていた修護に注がれる。


「俺が言うより先輩方から説明して頂いた方が良いと思いまして」


「はは。なるほど、修護らしいね」


真面目くさった淡々とした口調で答えた修護に龍の方が短く笑った。