誰も居るはずの無い昼休みの生徒会室の窓際の席。
とってつけたように大きな椅子に机が備え付けられている。
歴代の会長たちが使っていたそれに腰を下ろし、カーテンの隙間から窓の外をチラリと一瞥した。
真下には中庭が広がり、昼休みを思い思いに過ごす生徒たちの姿がある。
「…………」
その中の一カ所に目が吸い寄せられた。
見飽きる程見慣れた顔と、昨日初めて見た顔。
立ち上がったり座ったりしながら何やら楽しげにやりとりしている。
「高梨くん?」
「……んっ?」
「こんな時によそ見?」
窓の外に向いていた意識が正面に戻される。
目の前のブラウス姿の女の子が唇を尖らせて豹の顔を覗き込んだ。
「悪い。ちょっと気になることがあったから」
「もう……ちゃんとしてくれないなら交換条件飲まないよ?」
「……それは困るな」
斜めに纏めた髪からシュシュを取り、彼女の髪がハラハラと枝垂れた。

