つい勢いで説教を垂れたら、全部自分にしわ寄せとして返ってきた。


「……先輩って天然ヘタレに見せ掛けた策士ですか?」


「えっ? なんで?」


心底後悔する藍楽がさっきまでの勢いが嘘のように、ガックリと座り込んでしまった。


その隣でキョトンとした顔で藍楽を窺う龍の顔。


無害な顔してとんだ食わせ者……。


完全にハメられたとうなだれる藍楽に一つの想像が浮かんだ。


龍を推薦した先輩とやらはもしかしたら、龍のこんなところを見越していたのではないのか……と。


「……とりあえず保留にさせてください」


啖呵を切った手前、それはイヤだと断ることが出来ない律儀な自分を呪う。


やっぱり自分も高原家の不器用な血が流れていたのかと、やるせない気持ちで悲しくなった。