「ていうか。自分が頼りないって自覚あるんならなんで会長なんかになったんですか」
自覚してれば尚更に荷が重いだろうに……。
やや呆れた声色の藍楽に龍は何故かニッと人懐っこい笑顔を見せる。
それを驚いたように見つめ返せば、
「前任の先輩が推薦してくれたんだ。助けられた分、期待に応えられるようになれって」
「だからって……」
「それに僕が一番助けられたのって豹だから、僕だって出来るってところを豹に見せて安心させたかったんだ」
鼻を膨らませて決意を語る龍の横顔が飛び込んできて、言いかけた否定の言葉を飲み込んだ。
例え言葉にしたところで上手くいくワケではない。
それでも、
「副会長に認めて貰いたいんですね」
信頼する人間に認めて貰いたいって気持ちが人を突き動かす感覚は共感出来る。
2歳しか変わらない皇楽が、我が家の抜けた穴を埋めようと奮闘してる姿に敵わないって思いながらも、ちょっとでも力添えしたいって気持ちがいつも片隅にあった。

