あれだけ厭味を言っていた口と同じとは思えない……。


そう思うと藍楽は堪らず、


「ぷっ……あははっ」


「なっ……」


吹き出さずに居られなかった。


豹が無理してまで学校に来た理由。


「嘘ですよっ。ちゃんと傍に居てあげます。せっかくわたしに会う為にお家の人の反対を押し切って来てくれたんですから」


「……クソッ、龍の馬鹿が……」


せっかく想いが通じたんだからと、藍楽に会いたい一心で豹は学校まで来たのだ。


それが藍楽本人にバレるのを恥ずかしがって黙ってたのに、とっくの昔に藍楽は知っていたので余計に恥ずかしい。


「そんな調子だったら生徒会で格好のネタになっちゃいますよ」


「……椎菜辺りにおちょくられそうだな。気をつけるよ」


首元の濡れタオルを別の理由で上気した頬に当てながら、豹が深い溜め息を零す。


それを聞いた藍楽の表情が何故かあからさまに不満そうになり、豹は首を軽く捻った。