生徒会室でのやり取りが行われている頃。
「まだ微熱ありますね」
保健室のベッドの縁に座った豹がグッタリとうなだれている。
傍らでは藍楽が体温計片手に、やれやれと言わんばかりにうなだれた豹の首元に冷やしたタオルを宛がっていた。
「なんで休まなかったんですか?」
「……授業に遅れるの嫌だから」
「たかが一日休んだくらいで遅れるような成績じゃない癖に……」
何やら言いたげな含みのある藍楽の言葉に、豹は気まずそうな面持ちでチラリと藍楽の表情を窺った。
藍楽の言うように、一日休んだくらいで学力に差し支えるような豹ではない。
豹がわざわざ熱を押してまで学校に来たのには理由があった。
もちろん、その理由は龍という情報屋によって藍楽に知らされているが……。
口を堅く閉ざした豹は自ら言うつもりはなさそうだ。
そっちがその気ならと、
「じゃあわたしは生徒会に行きますね」
素っ気なく背中を向けた藍楽に、
「……っ」
豹はギュッと腕を捕まえ、何かを言いたげに口をパクパクさせていた。