それでも、


「だったらそれ……愛情に変えてください」


「はぁ? 何言って……」


「嫌がらせするくらいわたしが欲しいなら、わたしの気持ちを愛情に変えるくらい簡単ですよね!」


こう言って啖呵を切る藍楽には思わず毒気を抜かれてしまう。


嫌われてでも欲しかったモノ……。

その強い独占欲は使い方を間違えなければきっと、強い愛情になるはず。


「わたしが豹先輩から目を離せないようにしてください!」


降りしきる雨の中でニッと笑ってみせた笑顔に、完全に負けてしまった……。


ずっと見たかった笑顔が自分の目の前にある。


だったら、


「受けて立ってやる……覚悟しとけよ」


それを失わないように、今度は大事にすればイイ。


今まで嫌がらせした分、それ以上に……。


笑い返した豹の唇から告げられた色気の無い告白と打って変わって。
重なった唇は甘くて、降りしきる雨を打ち消すくらい暖かいモノだった。