ムカつく。
ムカつく。
ムカつく!!!
「紗英!私も、恋したい!」
次の日の朝、私はすごい剣幕で、紗英にまくし立てた。
「どうしたの?何の心境の変化?」
「別に!ってか、直哉のアホが、お弁当忘れて朝練に行ったらしいから、ちょっと届けてくるね!」
「はいはい、いってらっしゃい」
ずんずんと、足音がしそうな歩きで、体育館へと向かう。
ダムダムとボールをつく音。
キュッとシューズの音。
「バスケしてるとこは、男前なんだけどな」
そう呟いて、我に返る。
いかん、いかん。
直哉は、ただの幼なじみだ。
マネージャーの女の子が、笛を鳴らす。
朝練終了の合図だ。
私は体育館の入口から、直哉に向かって、手を降る。
こっちに気付いた直哉が、私の方に向かって来た時だった。
可愛い女の子が、直哉に話しかけた。
直哉は、笑って、そして少しはにかんだ。
なんだ、あれ?
心臓が、ぎゅっとわしづかみされた気分になった。
「夏実、どうした?俺、またなんか忘れ物した?」
ヘラヘラと笑いながら、私の元にやってくる直哉に、なぜか心から腹が立った。

