高校生になって、周りの女の子たちは少し変わった。 紗英もそう。 髪の毛を染めてみたり、 少し、メイクをしてみたり。 どんどん女の子になっていくみんなを、動かすのはどんな気持ちなんだろう。 「夏実は、恋をしないといけないね」 放課後の教室で、紗英にそんなことを言われても、恋なんてそう簡単にできるものじゃあ、ない。 誰が誰を好きだの、誰と誰が付き合ってるだの、そんなこと、私には無縁な気がした。 この類いの話は苦手分野だ。