たぶん一年生だろう男の子が 私のほうを心配そうに見た。 「あ、大丈夫…だよ?」 「よかったー マジで焦った!! 俺、鈴木颯(スズキソウ)」 私も自己紹介すんだよね…? 「わ、私は並木桃。 よろしくね?」 「桃かー! よろしく」 呼び捨てだったことも 気になったけど それより、 ふっと見せた鈴木くんの笑顔は 春の風みたいに爽やかだった。 私はトウヤの顔を 一度も見たことない。 この時、 きっと鈴木くんみたいな人が トウヤなんだろうな…―