ジョセフは内心、鹿を簡単に捕らえるなんてどうかしてると思い、ますますカウボーイとステアを疑った。
「で、カウボーイ。まさか夕飯はその捕まえた鹿を食うんじゃないだろうな?」「はは、食うに決まってんだろ。ほら、今から切るぞ」そういうとカウボーイは鹿の腹をナイフで切り裂いた。中から血と一緒に内蔵が出てきた。「内蔵も結構美味いんだぜ?ジョセフ」「い…いや、俺はいいよ」
ジョセフとマリアは持ってきたおにぎりを食べた。「なぁ、マリア。お前本当にあの二人がなんともないと思ってるのか?」テントの中でジョセフはマリアに話しかけた。「大丈夫よ。さっきステアと仲良く喋ったし、問題ないわ。」「あいつらは信用できない。」「せっかくの新婚旅行なのよ。ハネムーンなのよ。もっと楽しませてよ。」「いや、明日荷物を持って逃げよう。いいな?」「でも二人はきっと逃がさないわ。」「どうして?」「二人といた方が安全だよ絶対。カウボーイの防衛術は凄いよ。もし犯人が襲ってきても…」「いいかマリア。君は鈍感すぎる人を信用し過ぎなんだ。」「ジョセフはわかってないわ。あなたの作家としての想像力や妄想が激しいだけなのよ。いい加減その猜疑心どうかしてよね。あなたには付き合ってられないわ。いい?これは犯人から逃げるためじゃない。貴方との大切な新婚旅行なのよ。まだあの二人は怪しい素振りがないわ。このまま様子を見ましょう。」「あと1日だけだぞ…」
ジョセフは不安を隠しながら言った。
マリアとジョセフは二人がギリギリ入れる大きさのテントの中で眠りについた。マリア達のテントから西に、海沿いを歩くと三十メーターぐらい離れてカウボーイとステアのテントが張られている。二人は仲良く鹿を食べながら話をしていた。
「ジョセフ。寝て大丈夫なのかな?」「気にするな。その時はその時だ。」「おやすみ。」