「雪乃ちゃん」 「はい」 ぬいぐるみを抱き俺に振り向く。 「婚約のことなんだけど、雪乃ちゃんが帰ってきたら、婚約したいって父さんに伝えようと思うんだ」 「…はい」 「でも婚約は僕一人のことじゃないから、雪乃ちゃんも本当に僕と婚約してもいいか考えてほしいんだ」 「…………」 「雪乃ちゃんが嫌なら婚約しなくてもいい。会社のことや親のこととか難しく考えずに、素直な気持ちを教えてほしいんだ」 「…分かりました」 そして夕方になり俺は雪乃ちゃんに見送られ、西原家を後にした。