「う、ん」

自然と涙が出た。優斗も泣いているみたいだった。

「後さ、お前が本当に好きなのは…」

優斗が小さな声で呟く。

「いや。何でもない」

「…?じゃあ、また明日な」

精一杯、笑って電話を切った。耳に残るのは優斗の言葉。

そういえば、恵美が居た頃の俺は恵美を繋ぎ止める為だけに歌ってた。でも今は違う。

…思えば何で繋ぎ止めたかったんだろ?

その答えは何故か見つからないままにしておきたかったから、心の何処かにしまいこんだ。