『蓮…さん?』

恵美と俺が出会ったのは17の時。その頃既に俺は深亜が好きだった。でも深亜には優斗が居た。

『そうだけど…』

最初はファンの子くらいにしか思わなかった。ただのファンの一人だったんだ。

『あたし、蓮さんの歌声が好きです。だから…頑張って下さい』

真冬に雪が舞う中、何も言わずに消えていった後ろ姿。

…何処か寂しそうで。

でもまた再び出会うなんて思ってもなかった。恵美には、二度と。


そしてその日は偶然にも来た。ある日優斗が家に幼なじみを連れてきて、それが恵美だった。

『初めまして』

恵美の瞳は悲しそうに優斗だけしか映さなかったからすぐに分かった。この人は、俺と同じ叶わない片思いしてると。