「誰だっ!?」

おじさんからにやりとした笑みが消え、一瞬険しい表情になったかと思うと、
また笑みをこぼした。

「なんだ・・・ガキじゃないか。」

目の前に立っていたのは、わたしと同じ年齢くらいの男の子。
目が二重で鼻筋が通っていて、綺麗な顔だった。

「大丈夫か!? 莉緒っ」

莉緒って誰だっけ?
あ。私か・・・・
自分の名前を忘れるほどの恐怖だった。

「あなた・・・誰?」

「話しはいいから、いくぞっ莉緒!」

ぐいっと手首とつかまれたかと思うと、あっという間に建物の外にきていた。

おじさんがすごい形相で追いかけてきたけど、
年齢のせいか私たちにはおいつけなかった。

そして私たちは無事にあの公園へ戻ってきた。

「はぁっはぁ・・・」

「疲れたなぁ  莉緒・・・だいじょうか?」

「猛くん・・・」

あのときは暗くてよく見えなかったけど、
助けに来てくれたのは幼なじみの 由比 猛(ゆい たける)だった。

「助かってよかった・・・ 夜になっちゃったけど。」

「なんであの場所が分かったの??」

「おじさんの車、運転ゆっくりだったからつけてた。」

にまりと満点の笑顔で笑った。

「ねー莉緒。」

「なにー?猛くん。」

猛くんは、夜空に輝く星を見て言った。

「俺・・・あの星に誓うよ。」

そして私の手をとって

「莉緒は・・・俺が一生守ってやるから。」


あの夜私たちは約束のコトバをかわしたんだ。