すると…そこには…―――

「――…っ」

瞳を真ん丸にして 顔を真っ赤にしている…真由美

――…なんでこいつ こんなに赤いんだ…?

『どうしたんだよ?熱でもあるんか?』

「――…わ…」

『ん?』

「どうして赤いか…わからない…?」

――どうしてって…そんなの 俺が聞きてーよ…

『わかんねーよ』

「ぁ…そっか…」

少しだけ 真由美の表情が暗くなったのがわかった

今になっても その理由はわからない…

「まぁ…じきにわからしてあげる★」

そして真由美は ハニカミながら晴輝の頬をつまんだ

『なんだそりゃ…』

「いーの!それより、晴輝の“あの曲”が聞きたいな♪」

晴輝は 手元にあった楽譜帳を開いた

ちょっと古いが 大事に使われていて…

そして ズッシリと重い…

その楽譜帳の中から 曲を真剣にさがした

『少し進んだぞー、結構自信作だしっ』

そして…駅前の通りに 晴輝の歌声とギターのメロディが包み込んだ…









手に何もなかったあのころ

思い出すだけで 吐き気がした日々

もう 考えたくない

記憶から消したい


そんな僕の前に キミがいた

傍にいすぎて 忘れていたんだ

でも いたんだ

僕にはキミがいたんだ...