俺の恋の物語は…小6の時から +゚


冬の町に染まった夜…

照明をたくさん浴びて通る人々…

その姿を眺めながら 今日も晴樹は 親父と 路上ライブを行っていた…

大切なクラシックギターを 上手に弾く姿は 全く12歳に見えない

顔立ちも大人っぽいから よけいに中学生に見えてしまう…



晴輝の家は 母親を早く亡くして

それから 親父と男2人で暮らしていた

親父は 朝から夕方まで 工事現場で働いて

夜は晴輝と 趣味のギターを弾いている…

親父と一緒で 晴輝もギターが1番の楽しみ

それに 客として集まってくる人たちとの会話の しょうもないが 意外とおもしろい

俺はこの生活が 大好きだ…









ライブの準備も終わり 演奏に入ろうとすると…

「ぉ、晴輝だっ!」

長く細い髪の毛を上下に弾まして ここに向かって来る 真由美

彼女は 俺達の常連さんの中で もっとも可愛い高校生…

優しいし 美人だし 友達感覚で相談ごとを聞いてくれたりする とってもいい人

『よっ』

すると真由美は晴輝の隣に 腰をかけた

『…いいことあった?』

「あ、わかる!?」

彼女の顔は いつになく明るく 見ているだけで幸せな気持ちになれそうだ

「あのねー…」

真由美の表情は 大人の女にかわった

なんだか…―‐

――キレイな表情だな…

「好きなの人が…いるのね」

『ふーん』

「なんだか最近すっごく…優しいのっ」

顔を赤めていて 色っぽい…

でもなんとなく 晴輝の方を見つめている気がした…

『いいねーいいねー、どんな人なん?』

「ぇ…誰が?」

『だからー、あんたの好きな人は どんな奴なん?』

「そ…それは…」

真由美は 顔を手で覆ったまま 黙りこんでしまった

『…?真由美ぃー』

晴輝がむりやり 真由美の顔を覆った手を 外した