「あいつ、」


あいつ?


「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」

「みっちゃんの事?」

「ああ。」


みっちゃんがどうかしのか?


「弟かよ?」

「弟だよ。」


ギュッとさっきより強く抱き締められ、


「はぁ。」



ハテハテ?

たじろーさんは悩めるお年頃みたい。



「たじろー?」


たじろーの胸に埋めていてあたまを上げ、


「帰ろっか。」


ニコッて笑ってみた。



たじろーはそっぽを向き、「チッ。」と舌打ちした。


ウギャッ!何か変な事言った?


やっぱり、たじろーは分かりにくい。

頭をコテンコテン左右に傾けていると、


「お前、」


んん?


「分かってんのか?」


さっきと同じセリフが吐き出された。


「うむ。」


頷くと、舌打ちした後、


「こういう事だ。」


妖艶に口端を上げ、ゆっくりとたじろーの顔が近付いて来た。