今日は高校2年の始業式。
高校も2年目になると対して新鮮な感じもしなくなる。

セーラー服に腕を通しながらそんな事を考える。

鏡の中の私はいつもと同じ様に退屈そう。

リボンを結ぶ。

毎朝の決まり。

これが上手く結べたら今日1日上手く行く。

…シュル。

一回で上手く結べた。
凄い。今日は何かいい事があるかもしれない。

家を出るとすぐに向こうから薫が歩いてくるのが見えた。
薫は私の幼稚園からの友達。ケンカもよくするくせにやたらと気が合って、いつも一緒にいる。

薫と話ながら校門を入ると、先生達がクラス分けの表を配っていた。

「私C組だった。笹は?」
「私もC組だよ、これで4年連続になったね。」
「やっぱ、私と笹は運命の赤い糸で結ばれてるんだよ」

薫はほんとうに何にでも運命を感じる。

「ねぇねぇ、この先生なんて読むのかな?」
薫はC組の一番上を指さしていた。

「松嵜正義。まつが…まさのり…とかじゃん?」
「名前にせいぎってなんか凄いね。悪い事絶対出来なさそうだよね」
「悪い事ねぇ。」

私の学校は先生達の数が多いので有名だったから、名前の解らない先生がいても不思議じゃ無かったらから、私達の話はすぐに別の話題に移った。



松嵜正義

この時の私にはまさかこの名前がこれから先、一生忘れない大切な名前になるなんて少しも思って無かった。