翌日、あたしは会社を休んだ。
起き上がれなかった。
体が動かなかった。

すべての思考が
黒い方向へしかすすまない。

ベッドに横になったまま
何もしない。
時間さえどうでもいい。

外は雨だった。
よけいに気分を鬱蒼とさせる。


あたしの頭の中は
彼に対する不信感しかない。
なぜ?
彼はあたしに嘘をついたりした事があった?

いつも笑顔で、優しかった。


終電を待つ駅のホーム。
思い出していた。

どうしたらこの黒い考えを止められる?
すごい被害妄想だ。
でも

ああ

止まらない。


反省したところで
謝ったところで
もう彼はあたしを
「被害妄想」や「ヒステリー」の烙印を押しているだろう。

もう本当にダメだ。

捨てたなら捨てたでいいじゃないか。
あれはあたしが勝手にあげたもの…


携帯の電源を入れて、今が昼だという事を知る。

暫くしてメール着信音が響いた。


〓風邪だって?
昨日元気なかったもんね。
ヤツも心配してる。
とにかく今日仕事終わったら寄るから
欲しい物あったらリクして。

リカ〓


送信は10:45
隠れて給湯室かトイレから打ったんだな、と
あたしのズル休みに気付いてない事を祈った。

もしかしたら彼もメールをくれてたかも…

あんな事をしといて
あたしはまだ
何を考えているのだろう。

メールリクエスト送信したけど
「新着メールはありません」
の文字が携帯の液晶に映った。

「そうだよね…」

あたし、彼が好きなんだろうか。
また空回りだろうか。
もう、会えないよ…
会いたくない。

こんな真っ黒いあたし
見られたくない…