そんな甘いチョコレートは食べられない




隣に人の気配を感じて


支えにしていたフェンスが音をたてて揺れる




「せん、ぱい……」


隣にはいつもわたしの思考の大半を占めている先輩が

わたしと同じ体勢で前を見ていた



「……っ。どーしたんですか?今日はお残りさんなんですね」


「まあね」


「…………。」


「……………。」


やばいっ……
なんか泣きそう…


「あ、先輩。わたしそろそろ帰りますね」


このままここに居たらほんとに泣き出しそうで

フェンスから離れて後ろを向いたわたしの腕を




――先輩が掴んだ