隣に人の気配を感じて 支えにしていたフェンスが音をたてて揺れる 「せん、ぱい……」 隣にはいつもわたしの思考の大半を占めている先輩が わたしと同じ体勢で前を見ていた 「……っ。どーしたんですか?今日はお残りさんなんですね」 「まあね」 「…………。」 「……………。」 やばいっ…… なんか泣きそう… 「あ、先輩。わたしそろそろ帰りますね」 このままここに居たらほんとに泣き出しそうで フェンスから離れて後ろを向いたわたしの腕を ――先輩が掴んだ