実は平太も幼い頃に両親を失い、しずくの辛い悲しみは痛いほど理解できたのだ
平太は顔をあげしずくを見つめた
「分かった。あの桜は切らないでくれと殿に掛け合ってみる!俺にまかせろ。」
平太は嘘をついた
殿に掛け合うほどの身分でもない上、殿の命令は何があろうと絶対。破れば死が待ち受ける…
しずくはこの平太の言葉に思わず笑みがこぼれた
両親を亡くしてから初めてこんなに心から笑ったかもしれない
「ありがとう…」
笑いながら泣いているしずくがそこにはいた
平太はしずくを力強く抱きしめ「心配するでない、約束だ」
嘘を真にするため平太は心の中でしずくにこの想いを誓った
