男子生徒は手を伸ばしそれを動かそうと試みたが、窓は相変わらず頑固だ。


「こういうのはね、勢いなんだよ!」


 少年みたいだ。


 ふと、心のどこかでそう思った。ニカッと楽しんではにかむその姿は、なんだか無邪気で。きらきらしていた。


「い、勢い?」


「そう!いくよっ」


 首を傾げる私をよそに、男子生徒は目一杯右手に力をいれ、一気に窓を動かした。


 その時、


 開いた窓から、たくさんの桜の花びらが舞い込んだ。


 灰色の世界に導かれた桃色の風は、行き場を失って私たちにふわりと舞い降りた。思わず手を伸ばして掴もうとしたけれど、するりと器用に逃げられてしまう。


「すげー」


 その声に私は我に返り、今の行為を気づかれていないか横目で彼を確認して、吹き出してしまった。