「香住~。ノート写させてくれ~!」
「あ、うん。いいよ。」

 この返事が俺の今後を左右する言葉だった。
 俺はこの時いつもより浮かれ気味だった。
 だからあんなミスを犯したのかもしれない。


2学期が始まった、中2の夏。
猛暑が続く中、みんなだらけきっている。
その1人と思われる【多摩川 晴彦】。
彼は俺の隣の席。
俺の席は1番後ろで窓側。
うっすらと、ひそむ化け物が好みそうな場所。
だからよけいに涼しく思え、授業も捗る。

そう思い多摩川は、俺にノートを頼んだ。
そう思っていた。