桜りっぷ

名前しか知らない男に抱かれ
その腕に抱かれながら朝を
迎えた私は、眠る貴方を残し
ベッドから起き上がり
着衣を身に着けて、顔を洗う

鏡に映る私は、偽物の愛で
満たされて、こんなにも
きれい・・・

薄い化粧を済ませ、唇を
広告の藍と同じ口紅、桜色
で覆った。

『・・・痺れる唇』

体感・・・

「早起きですね?」

貴方が、シャツを羽織ると
貴方の裸身に降る桜は消えた

「ヒロ、来いよ」

ヒロ・・・

貴方の声で名を呼ばれると
この胸がドキドキする。

塁の手が、茉優の頬に触れる

貴方の手に触れられると
この胸がザワザワする。