桜りっぷ

「何も・・・
 アイは、幸せだよ」

今度は、浬がシャンプーの
ついた私の髪を、シャワーを
使って洗い流してくれる。

「なあ、藍
 本当に、式やるの?」

「今更、何言って・・・
 
 親孝行の為に結婚式を
 してあげようって
 二人で決めたでしょう?」

「そうだけど、俺の招待客は
 みんなすごいぞ
 お前の家、驚かないか?」

「うちだって複雑だよ
 両親に花束贈呈なんて
 五人も居るんだよ
 きっと、みんな驚くよ」

湯船に浸かりながら
藍は、言う。

「土壇場で逃げたり
 しないでよ」

「逃げねえよ」

振り返る藍の唇

口づける、浬・・・