桜りっぷ

「ねえ、カイリ
 足の傷の事、どうして
 言ってくれなかったの?」

「大した傷じゃねえし
 痛くも痒くもねえから
 忘れてた」

見るからに痛々しい
その傷痕に、私は、もしも抗争
で浬が死んでしまっていたら
・・・・・・

ううん、今もベッドで
眠り続けていたら・・・

目覚めることが無かったなら
・・・・・・

そう、考えるだけで胸が
締め付けられそうになる。

苦しい・・・

浬の胸に抱きつく、藍。

「何、藍
 今、ここでやるの?」

「カイリのばか・・・
 泡まみれになっちゃう」

「泡、いいじゃん」

黙り込む藍を、そっと
優しく抱きしめる、浬。

「何、何が不安なの?」