バカバカしく、インチキくさい
そう、鼻であしらっていた俺
だったが、それは違った。

七代目と話していると、藍を
失ってカラカラに枯れていた
俺の心がざわつき出し、興奮
して、胸が震えた。

満たされる心・・・

俺は仕事の合間を抜けては
七代目の元へと向かい
昔のヤクザ道の話を聞かせて
もらう事が、日課になる。

「じいちゃん、寿司食おうぜ」

俺は、七代目の中に、会えない
祖父を重ね、彼は彼で、数年前
に出て行った孫の姿を俺に
重ねた。

『お前に入江組を任せたい』

その言葉は、俺に希望を
持たせてくれた。

俺は、不甲斐ない俺自身から
抜け出す。

年期の入った紋付羽織袴を
着た浬、代を譲る先代から
渡された盃を、一気に
飲み干した。

浬は、弦と塁に右側だけ
口角を上げて笑った。