桜りっぷ

「いや、この子達のままで
 構わない、なあ、皆」

同じテーブルの男達は
ニヤリと笑みを溢した。

その場は、それで落ち着いた
ようだったが、客に成りすまし
男達を監視する、浬の目に
映る光景・・・

「ほらっ、もう泣くなよ
 飲みなおそう・・・」

俯く、彼女の肩を馴れ馴れしく
抱き寄せ、自分の方へと体を
密着させる。

そして、自分の失敗で店に
多大な迷惑をかけてしまった事
で嫌がることのできない彼女の
心情を知っている、その男は
彼女の胸元に厭らしい手つきで
触れながら言う。
 
「ところで、この後
 俺達に付き合ってくれよ
 
 なあ、いいだろう?」

塁は、横に立っていた
黒服に言って聞かせる。

「指名が入ったと彼女を
 一旦、下げろ」

「はい、分かりました」

黒服の男が、そのテーブルに
向かうまでもない・・・