桜りっぷ

黒いサングラスをかけた大柄の
見るからに柄の悪そうな男が
周りに聞こえるほどの大きな声
で話している。

浬は、男の声が聞き取れる
空席に腰を降ろす。

「何だ、ここの女は下ろした手
 が、少し足に触れただけで
 人の事を睨みつけて
 セクハラ扱い
 犯罪者扱いですか?
 
 教育のなってない店だぜ」

「すみません
 
 新人の女の子ですので
 接客の面では、まだまだ
 行き届かない点があるかとは
 思われますが、どうぞ
 お客様の寛大な心で許して
 頂きたく思います」

丁寧に頭を下げる、塁の隣で
泣いている女の子。

「本日は不愉快な思いを
 お客さまに・・・
 申し訳ございません

 反省させて頂きますと共に
 本日の料金は全てこちらで
 負担させて頂きます」

無料だと聞いて、男の顔が
パッと明るくなる。