桜りっぷ

久しぶりに聞く、彼女の声。

「カイリ
 その後、本命の彼女とは
 どうなの?
 
 ねえ、いつかの約束
 忘れてないわよね?」

「悪い悪い、忘れてた
 近いうち、時間作って
 飲みに行くわ」

「本当、嬉しい
 ありがとう、待ってるわ」

「ねえ、カイリ、私にも
 約束、ちょうだい
 
 本命の彼女に入揚げてないで
 遊んだ女にも会いに来てよ」

「ああ、分かったから
 ほらっ、早く店
 戻れよ」

その後、塁が来るのを
待っていた浬の煙草が空っぽに
なってしまった。

浬は、店のドアに手をかけた

「カイリさん
 お久しぶりっす」

「煙草、貰えないか?
 自販機無くて」

ポケットから小銭を出す、浬

「タダで持ってて
 くださいよ」

辺りを見渡す、浬。

店の雰囲気がいつもと違う。